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  • 2011.09.21 Wednesday
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劇場版 銀魂 新訳紅桜篇

 見てきました。
とりあえずぼくは銀魂、というアニメもマンガも熱心に見ている方ではなく、キッズステーションとかでやってたら何となく見る、程度ですので、この紅桜篇もちゃんと通して見たことはなかったわけで、まあそういうとこを加味して読んでもらえるとうれしいです。

さて。早速ですが、以下のような映画評が「公」的なサイトで掲載されています。

http://www.cinemaonline.jp/review/kou/11885.html

このサイトの趣旨というのは、次のようなものであるとも書いてあります。

「毎週封切られる膨大な数の映画たちから何を選ぶか。迷ったら、このページをチェックしてください。
どんな映画にも必ずひとつはあるイイ所を見つけだすのが、私の得意技。
女性ならではの視点で斬る映画評は、きっとお役に立つはずです。」

はいはいはいなるほどなるほど。いいところを見つけ出すわけです。また、映画を見る前に見る用のサイトであるということが分かります。そのため、おそらくネタバレには相当に注意して書いているのでしょう。だって中身がまるでないもの。
この映画についてこの批評で書かれていることは次のようなものです。
・映画の始まりと終わりがサイコーに笑えて楽しい
・オープニングはBGMのみの静止画
・大迫力のバトルが終わってのエンディングは、ニセ予告編が登場し、それに異議を唱える原作のキャラたちがワラワラと出てきて収拾がつかないほどの大騒ぎ
まあ以上の3点でしょう。うち1点(オープニング〜)については、「BGMのみ」ではなく「BGのみ」なわけで、そう本編でも言っているのですが、どっちでもいいだろう?ということなのでしょう。間違っても「バックグラウンドミュジックのみ」ではないと思うのですが、わかるだろう、ということなのでしょうか。まあこれだけしか書いていないにもかかわらずこんな粗がある、というのはきちんと見ていない、ということでしょう。
映画評としてどうかとおもうのは、この評において映画についての話がこれだけしかないにもかかわらず、映画以外のことに関してだらだらと語っていることです。いいところを見つけるのはいいのですが、いいところ、というのはそんなに適当なものでいいのでしょうか。映画におけるいいところを見つけるのではないのかと。

「映画のツボや隠れた見所にちゃんと気付く男性を、女性は見逃しません」

だそうですので、つまり「映画の始まりと終わりがサイコーに笑えて楽しい」というのが映画のツボであるとするのならば、ここで笑え、ということですね。つまりコンテクストマーカーとしての批評というわけです。
あとひとつだけ、最も問題だと思うことは、なぜ60点なのか、という、その根拠がどこにも書かれていないことです。加点法なのか減点法なのか知りませんが、残りの40点というのは何なのか。

まあ、そんなことはいいとして。

ぼくの話をしますが、ぼくはこの映画の中で笑えたところ、というのは2カ所しかありませんでした。大雑把に言ってしまえば、それはオープニングとエンディングなのですが、ここには笑いにおけるもっとも基本的な「繰り返し」と「違い」があります。つまり「差異」と「反復」です。オープニングのあの、何度も出現する「WB」のくだり。あれは完全に映画「内」の反復でしょう。批評的な機能云々はここでは置いておくとして、3度繰り返されるあの映像は、「BGオンリー」とされるアヴァンパートとは対比的に良く動きます。
さて、ここで先ほどから何度も使用している「BGオンリー」ですが、これはつまり「バックグラウンド=背景オンリー」ということです。つまり画面上には「背景」しかない、ということなわけです。しかしこれは本当なのでしょうか。よくよく画面を見てみると、画面左上から陽の光が差し込んでいるわけです。そしてこれは確実に動いており、なおかつその光は時間の経過とともに伸びています。これはどう考えても「BGオンリー」ではないわけです。確実に「中景」あるいは「前景/近景」であって、ふたつのレイヤーが存在している、ということになります。これのどこが差異なのか、というと、アニメ版のこのような演出の際、すべてを確認している訳ではないので見落としもあるかもしれませんが、確実に画面には「背景」しかないのです。絶対に陽の光などは差し込んでいません。これがアニメ版との「差異」である、というわけであり、この演出には映画全体に通奏する「主題」が隠されているわけです。普段行わない演出を、映画版では「あえて」使用しているのですから、これは故意だと考えられるわけです。そして案の定、というべきか、この作品全体にはひとつ大きな「光」というテーマが存在しています。このテーマをアヴァン部分で視覚的に露呈させてしまうところにこの映画の一番の「ツボ」があるといってもいいでしょう。実際最後あたりのショットでも陽の光が動いています。そしてそれは人物よりも「前」にあるわけで、陽の光の存在するレイヤーは「最前景」であることがわかるわけです。他にも本編中に万屋の窓から光が差し込む演出、あるいは逆光の演出が多用されます。
あるいはニセ予告ですが、アニメ版を見てみると、第2期の柳生篇が始まる前の回において、「映画ウソ予告」があるわけです。そしてこれは「紅桜篇」の偽映画化企画であるということがわかるわけですが、このニセ予告がアニメ版の「差異と反復」であり、ウソであるということを「特報」というテロップの時点で示しつつも、しかし続編が本当に製作されるかもしれないという、微妙なギャグであって、これも同じくアニメ版との「反復」であると考えることも出来るでしょう。

これがぼくの考えるこの映画の「ツボ」なわけですが、だからといってこの映画が手放しに褒められるものではありません。
まず台詞の多さ。原作のマンガはこれを売りにしているところもありますが、映像作品にする際にはこのまましていい、というわけではありません。マンガにおいては台詞すらも「画面」ですが、映画においては違います。原作通りにして、原作と同じだという安心を与えたいのかもしれませんが、そんなものは糞の役にも立たないと、ぼくは言うほかありません。映画にするのであれば、映画として成立させてほしかった。これが最も大きな不満です。
あと、歌をクライマックスに使用する方法。これはかなりベタで、容易に感動へ向かわせることが出来るのですが、出来るならばそんな安易な方法は取ってほしくなかったという気持ちです。しかしまあ、それは特撮/アニメ史的には正当な文脈でしょうから、そこまで求めるのは酷な気がします。

(追記)
原作読んでないと分かんない、アニメ版見てないと分かんない、という感想をなんか目にするのですが、別にそんなことないだろうと思います。それこそ「国民的アニメ」においても、キャラクターの設定などは一切説明されないこともある訳で、それがなぜ分かるか、というと、空気としか言いようがないでしょう。「国民的」と冠することで、そのコンテクストがある種コード化されるわけです。つまり、お約束化。そういうことを強制して成立するものが国民的アニメであるわけでしょう。アニメの映画化については、そこまで面白いと思えませんが、しかし訳が分からないということはないはず。問題なのは、画面が本当に貧乏なこと。これは作画云々とか言う訳ではなくて、カット割りとかですが、しかし、そういった点に置いて、それこそ「国民的」アニメとは視覚的に異質なわけで、その点はまあいいじゃんとぼくなんかは思います。なによりあんなに分かりやすいプロットで、分かんない、というのは、実はむしろ映画的で豊かなんじゃないかと思う訳です。で、ぼくはそんなことは全然感じないので、あんまり面白くないと言ってるのです。ほんと、あれだけ説明されて分かんないってんなら、理解力が極度にないか、運動的で豊かである=物語的でなく断片的ということなわけです。どう考えても後者みたいな良い作品ではないのですから。
あと映像的に面白くない、すごくないというのもあるけれど、ぼくはまあ、まずまずすごいと思うんですが。その点については。見てるところが違うのかもしれないですが。一体どんなアニメが「日本」のアニメ的なすごさを持っているのかと。ジブリかと。ジブリはそりゃすごいですが、この映画とは完全に方向を異としていて、つまり物語的ではないのだと。だからすごいんであって、つまり運動的なのであって。しかし少なくともあの光の演出を見るだけでも、まあ悪くはないんじゃないかと。実は「BGオンリー」パートが映像的にはすごいんじゃねえの?と。あんな風に露呈させる、というのは、間違ってもドラえもんではやらないでしょう。

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